数年前のこと、近所のマンションの1階から男性の怒鳴り声が聞こえた。

どうやら男の子を罵っている。

男の子の鳴き叫ぶ声とバシッというような音も聞こえる。

 

開いていたマンションの窓の外から声をかけた。

迷ったけどこの言葉にした。

「だいじょうぶですか?」

 

父親(らしい男性)が答えた。

「この子がいうことききませんねん」

 

「わかりました、だいじょうぶですか?」

 

「…だいじょうぶです」

そして静かになった。マンションの窓は開いたまま。

 

私はその後、通報も何にもしていない。

その後、怒鳴り声が聞こえたことはない。

男の子の顔と名前は知っている。今も普通に小学校に通ってる。

 

その家庭がその後どんな状況なのかわからないし、何が正解やったのかもわからない。

これをここに書いていいのかもわからない。

でも自分の責任で書く。

 

 

辛いニュースがあると思考が停止する。

言葉が出なくなる。

出てきても、当たり前で言ってもしゃあないような感想だけ。

 

この被害にあった子の文章を公開するのがいいのか悪いのかも判断できない。

もしかしたら公開してしんどくなる人もいるかもしれない。

それでも、多くの人が考えるきっかけになるのなら、使わせてもらう。

警察も、そう判断して公開したんだろう。

 

ひとつだけ確信しているのは、暴力は常に強者から弱者に向かうということ。

5歳の子どもが弱者なのは言うまでもない。

でもその加害者も社会的弱者だったのではないか。

 

社会→加害者→被害者

と流れる暴力。

だけど、加害者→被害者への暴力を発見したり止めたりするのも社会の力でしかできない。

 


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和田 憲明

和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
保育園園長、元主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]