平成29年7月28日(金)〜8月4日(金)に実施した「父子ツアーinシアトル」。その報告会を8月20日に開催しました。なお報告会の様子についてはすでに理事長ブログにて数回にわたりお届けしていますが、このレポートではブログの内容を再編集し、さらに当日撮影&ライブ配信した動画をまじえて公開します。
私たちFJKは初の独自企画として、米シアトルへの6泊8日の父子ツアーをいたしました。
限定で3組ながら、渡航費及び現地宿泊費無料!という内容で、平成29年5月13日〜5月29日の約2週間、父親のエピソードと母親の推薦書を募集したところ、34組ものお申し込みをいただきました。
▼以下は当日の動画です。
【動画①】父子ツアー実施の経緯&ツアー報告
【動画②】パネルディスカッション&質疑応答
▼ここからはテキストと写真にてレポートします。
父子ツアー実施の経緯
①父親の子育てを通じて子どもの体験を増やしたい!
父親の子育てを増やすこと。それはこれからの子どもたちにとって絶対プラスです。
なぜなら、父親と母親、2人で関わったら、子どもの得られる経験値は、片親だけで関わるより絶対に多くなるからです。
またいざというときに愕然としてしまわないためには、「好きなこと」「生涯向き合えること」に出会えることが必要だと思います。
そのために、たくさんの体験と、異なる価値感に向き合い、考える機会を提供することが、親としての責務であると信じています。
②父親の子育ては本質的に変わっていない?
FJKが活動をはじめてはや7年になりますが、そのなかで、父親の子育ても変わってきたなと思う機会はたくさんありますし、実際多く目にしてきました。
でも、数字やデータとして本当に増えているのかといえば、実はあまり変わってないのが現状。
③子育てに「ココロオドル」が必要
FJKでは、これまでからいろんなことをやってきました。
自治体も父親の子育て参加には力を入れて、いろんな取組みをしています。
でも、実際のところそれほど増えているわけではありません。
男性の育児休業にしてもそうです。
国は、男性の育児休業取得率を13%まで伸ばそうとしていますが、いっこうに増える気配はありません。
そりゃそうだと思うんですよね。
だって、子育てに関わるってことは、何かを我慢していることに他ならないからです。
苦行の先に何か目に見えてわかるものがなければ人は動きません。
がむしゃらに苦行を受け入れるなんて正気の沙汰ではありません。
父親の子育てを本気で増やすなら、やることは一つです。
圧倒的なインセンティブによって「心躍る」ものにする。
「父親のモチベーションをわかりやすく上げる!」
それしかないと思います。
そんな想いが重なり合って、生まれたアイデアが「父子ツアーinシアトル」でした。
父子ツアー報告
そんな旅のスケジュールは、すべての父子が伊丹空港に集合するところからスタートしました。
(初日)
10時30分に伊丹空港のロビーに集合した父子は、大人も子どもも残された家族も、「いよいよ始まった・・・」という楽しみと不安が入り交じりながらのスタートでした。
2度目の面識で一緒に海外に行く。
しかもはじめての父子だけ。
さらによその父子も一緒。
不安しかないといっても過言ではありません。
(到着初日)
伊丹空港~羽田空港へ。
羽田空港からリムジンバスで成田空港へ。
そして、成田空港からシアトルタコマ空港へ。
8時間を超える長時間のフライトにグロッキーな10人。
だけど、無事にやって来れた安心感と、日本では考えられないくらいのスカッと爽やかな青空に少しずつ表情も柔らかくなりました。
シアトルの交通機関に慣れる意味も込めて、少しばかりダウンタウンを観光したのち、近くのスーパーで買い物をして宿で晩ご飯づくり。
やっと一息つくことができました。
(二日目)フリータイム&パレード
この日は、夕方まで父子2人だけでの行動。
- 篠田家:ダウンタウン観光
- 石原家:ブルースリーのお墓参り
- 窪 家:カート・コバーンのベンチ見学とダウンタウン観光
- 渡邊家:シアトルセンターとチルドレンズミュージアム
- 高場家:マカティオ(昨年の居住地)への里帰り
それぞれ自由に過ごしたあと、シアトルのイベント「トーチライトパレード」に、神戸・シアトル姉妹都市協会様の計らいによって、パレードに参加させていただけることになりました。
パレードは、何十万人という人が見学しています。
そんななか、手を振って大通りを行進するのもなかなかない機会でした。
自由行動が終わったあとの、パパたちの感想は・・・
「2人でいろんなところに行くことができた」
「はじめてバスに乗ったりして楽しかった」
「フリータイムが終わってホッとした」
(三日目)ファーマーズマーケット&セーフコフィールド
地産地消やオーガニックを意識しているシアトルでは夏シーズン、ほぼ毎日どこかでファーマーズマーケットがやっています。
今回は、宿の近くにあるフリーモントのファーマーズマーケットで朝ご飯を食べ、その後、セーフコフィールドに、シアトルマリナーズの試合観戦へ。
マリナーズ戦で一番盛り上がっていたのは、篠田理事長です。
試合もマリナーズが9−1で快勝!
(四日目)シアトルのライフスタイルを知る
参加者全員「この日が一番刺激的だった!」と言わしめたのが、現地に住む4人のお父さんたちとミートアップした四日目でした。
午前の交流会は、シアトルに住む建築家(GM STUDIO INC.主宰)の松原博さん。
彼自身、国際結婚をした日本人男性で、同じ国際結婚をした日本人男性のサポートグループを開始するなど、すごく温かなお人柄です。
午後は、Microsoftで働く金子雅彦さん、渡辺 毅さん、吉田 敦さん、そして、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」生みの親の安原弘和さんとの交流でした。
ひと言では語りきれないほど、お互いに刺激的な時間になりました。
- 日本とアメリカの子育ての違い
- ロジカルな生活スタイル
- 自分自身にできることを考える
- 好きなものを見つけることが、生きていくうえで何よりも大事
- 異文化とのふれあいの重要性
- プログラミングと子育て、教育
- プログラミング教育の本質
自分が当たり前だと思っていたことが当たり前ではなかった。
そんなことに改めて気づかされる一日でした。
(五日目)ビル&メリンダ・ゲイツ財団訪問
ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、マイクロソフト会長のビル・ゲイツと妻メリンダによって2000年に創設された世界最大の慈善基金団体です。
そのオフィスに勤める友人が、私たち父子ツアー参加者のために、オフィス内の見学と財団スタッフとのランチセッションをセッティングしてくれました。
訪問を終えたあとは、ビジターセンターへ。
理事長の篠田がNPOで働いていることもあり、財団の取組みを知ってもらい、NPOの取組みを少しでも知ってもらいたいと思ってセッティングしてもらいました。
- 社会的事業体は何をしているのか?
- 世の中にはどんな社会課題があるのか?
- どうやって社会の課題に取り組んでいるのか?
- どうしたら世界は変えられるのか?
(六日目)マウントレーニアへ
この日は、シアトルを離れ、マウントレーニアに向かいました。
マウントレーニアは、シアトルの象徴的な山で、日本でいうところの富士山です。
日本ではなかなか感じられない大自然の躍動感、真夏でも残る雪、永久氷の側まで行けるトレッキングコースはとっても気持ちよくて震えます。
(七日目)最終日
この日がシアトル滞在の最終日です。
マウントレーニアのログハウスから空港へ。
もう寂しい以外に出てくる言葉はありませんでした。
(八日目)ただいま日本!
タコマ空港から成田空港へはおよそ9時間。
長時間のフライトでしたが、行きほどの疲れもなく、みんなただただ寂しそうにしていました。
帰ってきたことがチョット残念なくらい。
パネルディスカッション
この日、参加してくださった5人のお父さんたちみんなに集まっていただき、父子ツアーの様子を語ってもらいました。
「まず、全体を通していかがでしたか?」
- 海外は、仕事で行くもので、楽しいなんて思ったことはなかったが、子どもと一緒にいけてすごく楽しかった。
- 毎夜の飲んで語ってがすごく楽しかった。
- ビールがとにかく美味しかった。
- 本当に忘れられない経験。
「父子だけでシアトルへ、不安はなかったですか?」
- 不安と期待が五分五分と言っていたが、不安9割でした。
- 子どもが母親と離れて過ごすことが大丈夫かどうか本当に不安だった。
- 子どもがこれまでと違う生活にストレスを貯めて限界がきてしまうんじゃないか・・・。
- 海外で英語ができない中、子どもを連れて行けるのか・・・。
「応募は夫から?妻から?」
- みなさん、奥さんがみつけてきてくれて、自分が最終的に応募をきめました。
- まさか、自分が行けることになるとは思いもよらなかったけど。
「不安はありつつも、期待していたことは何でしたか?」
- 子どもに広い世界を見せてあげたいと思っていた。
- 欧米が子育て環境がすごくいいと聞くけどそれはホンマにそうなのかを聞きたかった。
- 自分自身も選択肢を増やしたかった。
- 他のお父さんたちの子どもとの接し方を見てみたかった。
結果・・・
- 想いは見事に実現しました。
- 子どもの適用力の高さに驚かされた。
- 子どもと、丸1日以上完全に2人きりの時間を過ごすことができた。
「特にこれはよかったなぁ!と思うことは?」
- 日本ではとても窮屈な生き方をしてきたが、アメリカに住むお父さんたちと話をして、「変えたい、乗り越えたいなら、自分で考えて乗り越えればいいやん!」と自発的に思うようになった。
- 日本はダメだよなと言い訳をしなくなった。
- 日本もすごくいい環境だということに気づくことができた。
「逆に、日本のほうが良かったなと思うところは?」
- 友人がアメリカで入院して、1000万円近い医療費を請求された。
- アメリカの保育園で週2日預けるのと、日本の保育園にフルタイムで預けるのと、料金が同じ。
- 日本の医療保険制度は素晴らしい。
- アメリカの学生はノートも持ってこない、ペンも持ってこない、メモも取らない。
(覚えることが重要ではなく、表現することが大事だから) - コーナンのようなところに拳銃が売っている。
質疑応答
「父子旅行の最適年齢は?」
- 自分自身は、小学校6年ではじめて海外に行ったが、とても良く覚えています。
- 今回のツアーは、小学生を限定にしましたが、小学生未満であっても行くことは、特に父親にとって大事。
「子どもたちのアレルギーが増えている中で、アメリカのアレルギー表示は?」
- グルテンフリーについては、すごく意識をされている。
- 実は、プレゼントのチョコレートに書いてました(笑)
「帰国してから新しいことを始められましたか?」
<仕事について>
- アメリカはすごくシステマチックに仕事をこなしているので、人を成長させる以上に、誰と一緒に働いてもいい成果が実現できるようなシステム、チームを作ろうと心がけている。
そのため、チームの業務を整理しています。
<子どもとの関わりについて>
- 子どもから聞かれたことに、以前は大人としての答えを返しすだけだったが、現地の人たちのロジカルな関わり方を実践するようになった。
- 「あなたはどう思うの?」「なぜそうしたいのか?」「それはあかん!なぜなら・・・」ということを意識的に問いかけを増やした。
- シアトルに住むために、英語を学ぼうと改めて感じた。
「帰国してから、夫婦間の関係が変わったかどうか?」
- 小さなことも、ひとつひとつ話をするようになった。
- シアトルから帰ってきて、妻がもっと喜んでくると思っていたらずっと不機嫌だった。
- 何かと聞いたら「私も大変だったんだからねぎらいの言葉が欲しい!」。
- 子どもにいい体験をさせられた俺すごいではなく、その陰で支えてくれている妻への感謝の言葉を伝えることのほうが重要。
「この経験、父親の子育てを、まわりのお父さんたち、職場の方々に何か発信はされていますか?」
- 同僚やまわりに「子どもとシアトルに行く」ことをずっと伝えていたら、来年のこのツアーに応募したい!と言う人が現れた。
- 職場の同僚で、SNSでつながっている人には、子どもを連れて特別な体験に出かけることを伝えています。
Special Thanks
- ジャングルシティ:大野拓未さま
- iLEAP:エリクセン恵さま
- Microsoft:金子雅彦さま、渡辺毅さま、吉田敦さま
- Bill & Melinda Gates Foundationさま
- 神戸・シアトル姉妹都市協会さま
- GM STUDIO INC:松原博さま
- Unity Technology Japan:安原広和さま
- ウェブトラベルさま
最後にSpecial Thanksとして、本当に心から感謝したいと思います。
みなさまのご協力無しにこのプログラムは実現し得ませんでした。
突然のお願い、タイトなスケジュール、初期の荒々しい企画にも、笑顔でご対応くださり、本当にありがとうございました。
これからも定期的にこのイベントのワクワク感を伝え続けていければいいなと思います。
来年も、再来年も、10年後も実施できるように、みなさん今後ともご理解とご協力をお願いします。
以上、8/20実施の父子ツアー報告会のレポートでした。
【募集中】FJKと一緒に企画しませんか?
FJKでは主に父親を対象とした子育て支援事業を行っています。「親子イベントを企画したい」「新商品の販促活動を共同で行いたい」などのご要望がありましたらぜひ事務局までお問い合わせください。