「お客さん、頭の鉢がすぐに膨らむでしょ」
年明け最初の散髪。入った10分カットのお店でベテラン理容師は言った。
その通り。僕の頭はいくら短く切ってもらってもすぐに頭の両脇、鉢の部分の髪が膨らんでブサイクになる頭だった。
「鉢が膨らまんように切っときます」
ほお、そんなん言ってくれたん初めて。と感心しながら僕は鏡越しに理容師の手元を見続けた。その視線に気づいたのか、その理容師は僕にここはこう切るといい、という技術解説をしながら切ってくれた。
いつも退屈で時には寝てしまう散髪の時間がとっても面白い時間に変わった。
これと似ているけど、対照的でつまらなかった散髪での思い出がある。
それは若い美容師だった。彼もいろいろと解説しながら切ってくれた。
でもその解説は、こんな感じ。
「日本人の頭は横に広がっているので、両脇を短くして登頂をのばして隠すといいんです」
ひたすら、日本人(この場合は僕)の頭の格好がブサイクなのを隠す方法を解説していたのだ。
これはとても不快でその美容室には2度と行かなかった。
値段はそこそこする美容室だったのにとても残念な思い出だ。
技術解説をしてくれたベテラン理容師のお店は1000円の10分カットのお店。彼を指名しようと思ってもできないシステムだ。
頭の欠点を指摘した若い美容師のお店は指名ができる。
僕の場合、気楽で印象の良い話ができた理容師・美容師は安い大衆店のお店が多い。
逆にそこそこの値段の店の理容師・美容師は、自分にとってあまり面白くない会話になってしまって、2度と行かないことが多い。
これは僕が本当にいい店を選べていないだけかもしれない。
でも僕は指名がとれるかもとあまり意気込んで一生懸命しゃべる人より、大衆店で気楽にしゃべってくれる人の方がいい。
冒頭の10分カットは8分で終わった。それは楽しい8分だった。散髪技術の解説にほうと唸らされた。次回も行こうと思う。その時に頭の鉢が膨んでいるかかどうか、1ヶ月後が楽しみだ。
和田 憲明
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