それは異様な光景だった。しがパパママスクールの第一回、お父さんとワイルド遊びの会場。パパママスクールはお父さんお母さんが育児を学ぶだけでなく、パパ同士、ママ同士の情報交換という目的もある。だから、ワイルド遊び講座の最後にパパママ座談会をする。これはFJKが最初に受託した大型案件、兵庫県父親の子育て講演講座からの伝統でもある。
最初に開催した2011年、参加者を集めるのに苦労した。世の中は「イクメン」という言葉がじわじわと広がり始めていたが、パパ向けの子育て講座なんてものはまだまだ世のニーズからは遠い物だった。それから8年、滋賀県でのパパ講座も4年目だ。定員を超える申し込みがあり、10組30人の親子の予定が13組50人の参加者があった。ほとんどは0・1・2歳児の小さいお子さんとそのパパママ。ワイルド遊びと言っても限界がある年齢なので、激しく遊ぶ時間は限定的にし、子どもとの愛着関係の話、夫婦のコミュニケーションの話、絵本の使い方の話などを交えながら、ゆったりと講座を進めた。
90分間の遊び講座のあとは30分間のパパママ座談会。パパ同士、ママ同士の情報交換をしていただく場面。10分の休憩を挟む前に、グループをパパとママに分かれてもらうようにお伝えした。パパは会場の右側。ママは会場の左側に集まってもらう。「お子さんはどっちにいても結構です」とお伝えして休憩に入る。
休憩が終わって部屋に戻ると、なんということでしょう。子どもは全員会場の右側、パパと一緒にいたのです。冒頭の異様な光景とはこのこと。そうしてパパママ座談会は始まりました。赤ちゃんをだっこしたり幼児をあやしながら、苦労してサインペンを持ち座談会のワークに取り組むパパたち。パパだけの講座なら不思議はない。でも同じ会場内には軽々とペンを持ち、身軽に楽しそうにおしゃべりするママたちがいるのだ。こんな光景見たことない!
ひとり、座談会直前に寝てしまった我が子が別室でママと過ごしていて、子どもと一緒にいることができなかったパパがいて、講座修了後僕にそっと言いに来られました。
「僕だけ子どもと一緒にいなくて恥ずかしかったですわ」
パパ講座の空気が変わった! これはちょうど2年前、岸和田パパスクールの時に書いた記事。時代はどんどん進んでる。異様と感じる自分の感覚の方か遅れているのだ。
和田 憲明
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