夜11時に家に着くと、リビングの電気が点いていた。我が家は夜が早く、妻も僕も普段は10時前に寝室にあがってしまう。娘たちも同じくらいの時間に上に上がる。でも中三の長女は自分の部屋に入ってもすぐには寝ていないようだ。勉強をしているのか、スマホをいじっているのかわからないけど。

長女は高校受験を年明けに控えた受験生だ。できれば勉強していてほしい。勉強をしていないならぜめて早く寝て、昼間は勉強をできる体調でいてほしいという親心。長女の成績はなかなか上がらない。友達と行くと言っていた志望校には届かずにレベルを下げた。

その夜の11時、長女だけが起きてリビングの炬燵でぬくぬくと堂本兄弟を観ていた。長女にどっちの言葉をかけようか迷った。「勉強しなさい」「早く寝なさい」迷ったけど、結局どっちの言葉もかけずに「ただいま」だけを言って風呂に直行した。

風呂から上がるとまだ堂本兄弟がついていた。こらアカンと思い声をかけようと炬燵を見た。炬燵の天板には参考書とノートが広がっていて、長女はテレビを見ずに参考書とノートを見ていた。勉強をしていたのだ。ながらで勉強できるとも思うが、妻もながら族だったというし、しばらく見ていても、長女は一心不乱に勉強をしている。テレビがついていたら集中できない私とは違うのだ。

反射的に言いそうになったことを一旦引っ込める余裕が自分にあってよかった。もし、家に着いた瞬間に「勉強しなさい」か「早く寝なさい」という声をかけていたら、長女はふてくされてどっちもしていなかったはずだ。長女とは15年の付き合い、それくらいは読める。


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和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]