トマト&ボウルというマジックがある。いちばん単純な手順はこうだ。
テーブルの上にスポンジ製のプチトマトとお椀がある。マジシャンはその前に座っている。
お客から見てトマトが右側、お椀が左側においてある。お椀は上向きだ。
マジシャンはトマトを右手でつまんで左手に握りこむ。
続けて右手でお椀をひっくり返して裏向きにする。
左手を伏せたお椀の上に持っていき、気合一閃お椀の裏に手を開きながら叩きつける。
左手をゆっくりと開くとトマトが無くなっている。
お椀をひっくりかえすと、トマトはお椀の下にある。
トマトがお椀の底を通り抜けたのだ。
子どもが相手なら、左手をお椀の裏に叩きつけるのではなく、こぶしのままお椀の裏に置いて、子どもに拳の上から押してもらう。
子どもがぐっと押すタイミングで左手をパーにする。
パーを表返すとトマトが無くなっている。
お椀をひっくり返すとトマトはその下に。
子どもの手の力でトマトがお椀の底を通り抜けた!
このマジックは何度でも繰り返しできる。
一番繰り返したのは10分間くらい。1回10秒弱の手順だから、10分間で60回以上だ。
相手は軽度の発達障害のある知り合いの子。当時4歳。
下の子が生まれるということで、祖父母の家にあずけられていた。
祖父母の家で彼は落ち着かず、よるもなかなか寝られなかったそうだ。
彼は何度もなんどもこのマジックをねだった。
僕が彼と遊んだのはこのマジックの10分間をふくめてほんの30分くらい。
それでもその夜、彼はよく眠ったそうだ。
かれの祖父母はびっくりしていた。
「あれだけの時間で満足したんやな」
たった30分でも集中して遊ぶ相手がいて、自分の好きなことを繰り返しやってくれる。
それだけて落ち着かなかった子が眠れることもある。
繰り返し喜んでもらえるマジックを知っててよかった。
和田 憲明
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