少なからずの人が先日の『耳をすませば』のOAを観て「実はジブリの中で一番好きな作品」と発信していた。僕のFBタイムラインの中でだけど。

実は私の娘も2人ともジブリ作品の中で『耳をすませば』が一番好き。普段バラバラでiphoneとipadを眺めている姉妹が、『耳をすませば』OAの夜は2人揃って神妙にテレビ前のソファで鑑賞していた。DVDも家にはあるんですけど、OAしてるときに観たいという気持ちは僕もよくわかる。家族に何度「スターウォーズのDVD持ってるやん!」って言われたことか。いや、スターウォーズは全作品ブルーレイで持ってますけど。

それはさておき、どうして『耳をすませば』がこれだけ隠れファンだったり隠れてないファンだったりを持っているのか。たしかにおっちゃんが『耳をすませば』が一番好きというのはかなり恥ずかしいカミングアウトだと思う。あ、私の中ではジブリ作品中3位です。これでもかなり高いですね。

『耳をすませば』は宮崎駿監督ではない。宮崎駿はプロデュースに回って、自分よりも年長の近藤喜文に監督を任せた作品だ。これって何かに似ている。映画が何かに似ているという場合、私の中では80パーセントの確率でスターウォーズ絡みになる。『耳をすませば』が似ているのは『スターウォーズ・帝国の逆襲』だ。この作品もジョージ・ルーカスはプロデュースに回り、ルーカスより年長のアーヴィン・カーシューナーが監督をした。そして『帝国の逆襲』もファンからの支持が高い作品だ。

『耳をすませば』も『帝国の逆襲』も心理描写が巧みだ。それも個人の心理描写ではなく、人と人との関係性の中で生まれる心理描写だ。『耳をすませば』では「大好きだ!!」、『帝国の逆襲』では「知ってたよ」というどちらもファン垂涎の名シーンの中の名台詞が生まれた。これは年長の2人が監督をした成果だ。宮崎駿もジョージ・ルーカスも優秀な監督だが、人間関係を細やかに描くことにはあまり興味がない。2人の他の作品と、この年長の監督に現場をまかせた2作品を比べてみればよくわかる。

あともう一点、『耳すま』と『帝逆』が名作になった理由を推察する。それは宮崎とルーカスの年長の監督に対する敬意だ。宮崎もルーカスも年下の監督に現場をまかせたことがある。でもそれらの作品では2人は現場に口を出しすぎた。たとえば宮崎ならば米林宏昌に監督にさせた『借りぐらしのアリエッティ』、ルーカスならばリチャード・マーカンドに監督をさせた『スターウォーズ・ジェダイの帰還』がある。どちらも悪くはない。悪くはないけれど宮崎、ルーカス両プロデューサーのエゴが出て、若い監督の演出が縮こまってのびのびしていないのだ。

それが『耳すま』と『帝逆』では、両プロデューサーが一歩後ろに引いて、監督が思う存分力を発揮している。いや、宮崎駿は『耳すま』の現場に口を出してたし、夢の中の飛行シーンは自分で監督までしたという情報もある。それでも年長者への敬意はあったんじゃないか。だから『耳すま』は宮崎監督作品と全く同じ絵でありながら、全く違う空気感の作品になった。これはほんのちょっとの現場への敬意の差で出来上がったんじゃないか。それは無言のうちにファンに伝わり作品への支持率あげたんじゃないか。ちなみにルーカスも『帝逆』の現場にはずっといて第2班の監督をしたりもしてたらしい。

『耳すま』と『帝逆』は似すぎている。『耳すま』OA中、娘たちの肩越しにこんな独断をひとり面白がっていた。


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和田 憲明

和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]