小学6年生当時の長女は、父親の私から見てちゃんと生活が出来ていないように見えた。朝起きられない、片づけられない、提出物を出せない、ご飯を残さず食べない、youtubeを見る時間のけじめをつけられない。出来ないことづくしである。

ことあるごとに僕は長女に小言を言っていたらしい。らしい、というのは自覚がなかったからだ。僕が名前を読んだだけで泣き出した長女を見るまでは。

リビングに脱ぎっぱなしの長女の靴下を見つけた僕は長女の名を呼んだ。その時だ。「また怒られるの」と長女が悲しそうな声を出したのは。僕の顔を見た長女の頬には涙が流れていた。

僕自身も、子どもの頃母親に小言をよく言われていた。先々週の叔父の葬式の翌日、母親から電話がかかってきた。「あんたに言いたいことがあるねん」。僕は小言を言われると思って構えた。ネクタイが曲がっていたとか、香典を渡す作法が違うとか、猫背だったとか。でも違った。

「あんた、よう親族の中に入ってしゃべってたなぁ。私もお父さんもあんな上手に入られへんわ」

聞こえてきたのは誉め言葉。あの、あなたの息子は44歳のおっさんです。年相応の社会性を身に着けてます。褒められたことに悪い気はしないけど、僕は子どもの頃のようにまた小言を言われるかと構えてしまいました。

同じことを僕と長女の間に起こすところだった。ごめんね、長女。あなたの涙で気づかせてもらいました。出来ないことよりも出来ることを認めるようにする。あなたの祖母が44歳の息子にしてれたように。親子関係も世代を経るごとに進化させていきたい。


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和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]