買い物客で大混雑の店内で、僕は慎重にホバリングをしていた。乱気流の崖の間で遭難者を救助するかのような使命感に燃えながら。

大晦日、夜の鍋の買い出しに妻と義姉とスーパーに行った。今年は妻の実家で年越し。義母と娘と姪たちが実家でテレビを見たりゲームをしている間に3人で買い物だ。大晦日午後のスーパーは大にぎわい。僕はカートにカゴを2つ積んで、妻と義姉の後についていった。妻と義姉は時に並んで、時に分かれて陳列棚の間を進んでいく。時に通り過ぎながら手に取った品物をカゴに入れ、時に止まって吟味する。

妻と義姉が一緒に動いている時、カートの操縦は簡単だ。2人のあとをついていくだけ。難しいのは2人が止まって品物を吟味している時のカートの待機場所だ。通路の真ん中だと通行の邪魔になる。かといって陳列棚に近すぎるとその陳列棚の品物を手に取りたい人の邪魔になる。だから、完全に停車はしない。微妙な位置で微妙にポジショニングを変えながら待つことになる。通行人が通りそうな時はちょっと棚に寄せ、棚に客が寄ってきた時はちょっとつうる中央に寄る。そう、まるで乱気流の中ホバリングするヘリコプターのように。

もっと難しいのは妻と義姉が別々の棚に行った時だ。僕は2人のポジションを確認しながら、2人からすぐ見える場所、なおかつ通行人の邪魔にならないところでホバリングをする。八方に目を配りながら自分の場所を調整するのは結構楽しい。そうして購入したすき焼きとカニ鍋の材料、そしてアルコール類は大きなショッピングバッグ2つにいっぱいになった。もちろん2つとも僕が持つ。料理は全て妻と義姉がしてくれるのだから、これは当然の役割だ。


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和田 憲明

和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]