ここのところずっと思っていることがあるんです。
我々、よく行政の企画提案事業、いわゆる「プロポーザル方式」とよばれる事業のエントリーをしています。
プロポーザル方式と言うのは、「主に、業務の委託先や建築物の設計者を選定する際に、複数のものに目的物に対する企画を提案してもらい、その中から優れた提案」のことです。(by wikipedeia)
それに対して、いわゆる金額だけで業者を選定する方法は「競争入札」と呼ばれています。
過去の契約では、基本的に入札方式がよく使われていましたが、ただ金額が安いだけでは「安かろう悪かろう」となってしまうこともままあることから、近年ではプロポーザル方式が積極的に導入されるようになりました。
「プロポーザル」という夢の仕組み
競争入札による契約案件は、正直スケールメリットに左右されるので、参入障壁が非常に高かったんです。
特に、ベンチャー、スタートアップ、NPOなどの資金調達が難しい組織にとっては、大企業の低価格戦略にはとてもじゃないけど太刀打ちできないわけです。
そんななか登場したプロポーザル方式。
資金だけじゃなく企画で勝負ができる。
いいモノを持っていながら先行者利益にはじかれていた企業や組織にとっては、正直夢のような仕組みやと思ったものです。
「プロポーザル」という仕組みはホンマ無駄遣い
ですが、いろんなプロポーザルに提案を出しながら、ある疑問が頭をよぎりました。
「これ、企画には絶対一長一短あるのに、一社しか通らへんってもったいないなぁ。」
企画は、事業内容、運営体制、広報、集客、費用など、いろんな要素で成り立っているわけです。
そのすべての要素がどこよりも素晴らしい企画なんて、そうそうあるものではありません。
どんな企画も複数出たら絶対に、事業内容はA社がいいけど、運営体制はB社が安心とか、そういうことって普通にあります。
にもかかわらず、総合得点で結局1社に限定される。
これって貴重な企画の垂れ流しです!
なんでこんなことが起こるのか。
それはですね、行政の仕事の在り方の問題です。
どんな事業でも、企画提案が複数あれば、複数を組み合わせるのが一番いいはずです。
でもできない。
それは、個人の主観が入ることを行政の業務では許さないからです。
個人の主観が入らないようにするには、客観的に決められた仕組みに則って「決める」しかありません。
僕も公務員だったのですごくわかります。
公務員のときは正しいと確信していましたから。
でも、こうしてみてみると、そんな行政の都合でどれだけの素晴らしい企画が廃棄されてしまってるんだろうと思いますし、それを考えると憤りすら生じます。
民間の企画力を最大限活かすために
行政は、住民から集めた税金を住民のために使わなければなりません。
そのためには、「どういう事業が住民に喜ばれるか」という理想を描く力が何よりも必要です。
福祉、教育、商業、労政、土木、建築など、行政には本当にたくさんの領域がありますが、基本は同じです。
- 目の前のターゲットや受益者みんなが幸せな状態はどんなものか。
- 目の前のターゲットや受益者みんなが喜んでくれている状態はどんなものか。
そうしたことを思い浮かべないといけません。
そして、もう1つ大事な要素がコーディネート力です。
理想を描き、それを実現するには、プロポーザルのような仕組みでは絶対に足りません。
プロポーザルに提案する企業はみんな、より良い社会のために、困っている人のために、必要としている人のために事業を考えます。
だからそれらのいいところを行政がうまくコーディネートさえしてくれれば、もっともっといい事業が実現できるはず。
僕はそう考えています。
自治体が委託者で、我々事業者が受託者として審査され、一社に限定される。
そうじゃなくて、事業者の様々な提案を、行政がリーダーシップを発揮して集合的価値をつくる。
一社あたりだと、受けられる費用も減少するけれど、でも企画が捨てられてしまうよりはよほどいいんじゃないでしょうか。
願わくば、これから先の行政は、ただただ決められた仕事をするだけではなく、官民の本当の恊働、いわゆるコレクティブインパクトを意識的に発揮してもらいたいものです。
そうすれば、絶対世の中もっと良くなりますから!
以上、もしも行政に戻ることができたら絶対それやりたい!篠田でした。
篠田 厚志
最新記事 by 篠田 厚志 (全て見る)
- 息子との会話でわかった投票率をあげる方法 - 2019年4月22日
- 子どもから「好き」と言われるパパになるには? - 2019年1月30日
- 1096日、ありがとうございました。 - 2018年12月31日
- 年末の東京ディズニーリゾートはヤバい! - 2018年12月30日