もしも、時間貯蓄銀行という謎の銀行があって、人々がみなこっそりと時間を貯蓄する口座を開いたとして、毎日少しずつ時間というものを貯蓄したとしたら?
結果、おこるのはこういうことかもしれません。
時間を貯蓄するために必死で働き、誰かとのたわいない会話を削り、家族との大切な時間を削る。結果、待ち受けているのは、貯蓄どころか時間に追われて過ごす毎日。貯めたはずの時間は、誰ともわからぬ人に奪われ、何のために時間を貯蓄しようと思ったのかもわからなくなる。
今の世の中そのものです。もしかすると、今、多くの人がせかせかと働いているのは、時間貯蓄銀行の仕業かもしれません。
でも、だとすると、なぜ誰も時間貯蓄銀行の仕業に気付かないんでしょう。
多くの人が、時間貯蓄銀行に時間を搾取されていることに気付かないなんておかしいですよね。それはきっと、時間貯蓄銀行の職員があまりにもうまくことを運んでしまって、誰の記憶にも残らないから。
そんなことよりも、とにかく言われたことを必死にこなし、1分でも1秒でも多く時間を溜め込もうとするほうが、自分のためだと思い込んでしまっているからです。
そんな止まりきった人間の思考をよみがえらせて、時間貯蓄銀行の搾取から逃れるためにはどうすればいいのでしょう・・・。
そんな、今の世の中そっくりの未来を小説によって予言していた人こそ、ミヒャエル・エンデその人です。彼の作品「モモ」。
そこには、多くの人が時間貯蓄銀行に時間を人間らしい生き方ができなくなった今の世の中において、モモという少女がたった1人だけで、逆にみんなの搾取された時間をとりもどそうとする。
本当にすばらしい小説です。僕はこれまで、エンデもモモも知りませんでした。
※ネバーエンディングストーリーがエンデの作品だと知ったのはモモを知ってからです。
時間に追われる生活。効率化を追求する暮らし。親が忙しくて相手をしてもらえない子ども。そして、保育所のように子どもたちの居場所をよかれと思って建てまくる。
1970年代ですよ、この作品。12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ本において紹介されていたので読んでみたんです。
そうしたら面白いったらありゃしなかったんです。っていうか、エンデは、今日のこの日というのを、タイムマシンかなにかで見にきたんでは?と思えるほどです。
ぜひみなさん、エンデの「モモ」読んでみてください。本当に度肝抜かれると思いますよ。
以上、今日も東京、篠田でした。
篠田 厚志
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