2025年の万博誘致を目指していた大阪。
競合他市は経済活性化やオイルマネーを投じて初開催を目指していたのに対し、大阪は2度目のエントリーで正直なところ分が悪いといわれてきました。
万博なんていわれてもピンと来ない僕らアンダー40、いや、僕らのうえアンダー50も含めた子育て世代にとって、何でもかんでも誘致で経済活性化という旧態依然のロジックには辟易しているのが実際のところ。
「またなんか誘致しようとしてるで。」
「その分で保育所つくったらいいのに。」
そう思っている人も多かったはずです。
そんな雰囲気を打ち壊し、半世紀ぶりの開催地に選ばれました。
世の中って何が起こるかわからないものですね。
こうして東京オリンピックの5年後に大阪万博が開催される流れは、50年前の高度経済成長期をなぞるかのようです。
さらに今回は、東京オリンピックの前年にラグビーW杯が開催されます。
日本ではメジャーとは言えないラグビーW杯ですが、夏季オリンピック、サッカーW杯とならんで3大スポーツ祭典と言われているんです。
これらが続けて開催されるとなって、さらには万博までとなったらそのスケールは計り知れません。
50年前の万博がとんでもない盛況ぶりだったことは、いろんなところで伝え聞くだけに、これ、日本再興あるかも・・・って、辟易していると同時にチョット期待もしてしまいますよね。
大阪万博開催=負の遺産
なぜ、大阪がこれほどまでにイベント誘致にこだわったのか。
ひとつは単純に大阪経済の活性化です。
過去の成功モデルにしか頼れない陳腐な思考は本当に残念ですが、まぁなんせ活性化させたいという一心です。
そしてもうひとつ、必死で誘致をおこなった理由が、負の遺産の整理です。
大阪にはバブル期の乱開発によって生まれた負の遺産が塩漬けで残っています。
それが南港ベイエリア。
特に、埋め立て地の夢洲は390ヘクタールのだだっ広い空き地状態。
大阪市内にあって20年もほったらかしにされていたこの負の遺産をなんとか開発にこぎつけたい。
それによって経済活性化をはかりたい。
そんな想いがあったといえます。
我々大阪府民からすると、塩漬けの土地より「今」必要な支援があるやろ!と思うところなんですが、この夢洲を中心としたエリアを開催候補地に絞ったことが、結果的に大阪万博の開催につながったという見方もあるようです。
というのも、万博の開催にはサスティナビリティー(持続可能性)が強く求められています。
そのため、開催のために、開発を押し進めることは否定的にとらえられやすいのです。
アゼルバイジャンのバクーという候補地は、オイルマネーにものをいわせて100兆円で会場を建設するということだったそうです。
それに対して、日本の会場建設費はおよそ1250億円。
はっきりいっておきますが、それだけあれば子育て支援や教育支援にまわせよ!って数字を見るたびに思ってますよ。
その議論は置いといて、ただ、100兆円で新たな開発と、0.1兆円で既存の土地を活用するのと、どちらが効果的ですか?
それが決めての一つになったというならば、塩漬けされた負の遺産が、意味を持つ正の遺産に生まれ変わることも可能かもしれません。
オリンピック共々レガシーこそが重要
負の遺産の整理に向けて、これ以上ない理由を得た大阪ですが、とはいえ開催にはまだまだ費用がかかります。
それをどうやって工面するかというと、多くはやはり借金です。
将来の経済効果を担保に公債を発行するわけです。
簡単にいうと、負の遺産を整理するために未来にツケを残すカタチです。
借金が絶対ダメとも思いませんので、それはそれでかまいません。
ただ、借金をするからにはきちんと構成に正の遺産を残さないといけません。
それが一体なんなのか。
前回の大阪万博から50年が経った今は、当時からみて理想的な未来でしょうか。
おそらくそうではないはずです。
そうでないならば、今回は2075年の未来をもっとよく想像して開催する必要があります。
一時的な経済効果と盛り上げムードだけで終わらないようにすることは必定なのです。
日本の課題のすべてを吐き出そう
2025年は「命輝く未来社会のデザイン」がテーマです。
もう少しいうと、「よりよいライフデザイン」といったところでしょうか。
簡単にいうと、これまでと違った生き方の実現をデザインすると言っているのだと思います。
子育て、教育、貧困、環境問題、働き方改革、女性の活躍、少子化対策などなど。
課題先進国といわれるように、よりよく生きていくための課題は山積です。
万博は、これまで浮き彫りになった課題のソリューションを提案できるものであって欲しい。
それこそが「命輝く未来社会のデザイン」ではないでしょうか。
万博開催地に選ばれた以上もう待った無しです。
市民、府民、国民を巻き込んで、一人ひとりがよりよく生きていける社会の実現に、どうか万博が寄与しますように。
以上、息子はすでに行く気マンマン篠田でした。

篠田 厚志

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