ウチのサンタは私がほしいものをくれません。サンタがあげたいものを持ってくるそうです。パパが言うてました。でもたん生日にはママが私の欲しいものを買ってくれます。ウチのサンタはクリスマス前の夜中にきてくれます。朝起きたらお礼においといたチョコパイを食べていってくれてます。トナカイさんはお礼においといたニンジンをかじっていってくれてます。トナカイさんのかじったニンジンはなんかべたべたしてます。ママはそれをすぐにすてます。クリスマスツリーのよこにプレゼントがおいてあります。私のぶんと妹のぶん。なんかえいごでふたりの名前と「いい子ですね」みたいなことが書いてあるそうです。パパが読んでくれました。

サンタがくれるプレゼントはいいもののこともあるし、いまいちなこともあります。いちばん良かったプレゼントはすごく大きい黒板です。うらがえすとホワイトボードになります。学校ごっこでいっぱいつかいました。おなじとき、妹にはダンボールの家をくれました。真っ白なダンボールの家に2人でいっぱい絵をかきました。妹は冬休みのあいだダンボールの家にすんでいました。中には妹が大好きなスマイルプリキュアのポスターをはってました。

いまいちやったプレゼントは絵本です。ミッケとゆうなんかさがす絵本を5冊もくれました。ミッケはおもしろかったけどサンタのプレゼント? って思いました。おなじとき、妹にも絵本をくれました。なんかめいろの絵本を5冊。妹はめいろで遊んだけどすぐにあきたみたい。ウチにくるサンタは気分があるみたい。大きいもののときやえほんのときとかいろいろです。はやってるハンドスピナーをくれたときもありました。来年はどんなプレゼントをくれるかな。

和田家のサンタは子どものリクエストを聞かない。サンタがあげたいものをあげる。子どもが欲しいものは子どもの想像を超えないけれど、サンタは子どもの想像を超えた思いもよらないものをプレゼントしてくれる超越した存在だ。その代わり、誕生日のプレゼントは妻が娘と相談して決めている。娘2人は10月と11月生まれで、誕生日がクリスマスに近い。だからサンタがリクエストを聞かなくても納得しやすいのかもしれない。

ある年、姉妹に来たプレゼントは巨大なものだった。長女の背より高い黒板と次女が十分に住めるダンボールハウス。値段のわりにヒットしたプレゼントだった。姉妹は長い間よく遊んでいた。プレゼントを準備するサンタも楽しかっただろう。巨大な袋にプレゼントを詰めて、2人の名前とメッセージを筆記体のローマ字で書いたカードを貼り付ける。メッセージは「いつもやさしいおねえちゃんだね」「いつもほいくえんでたのしんでるね」と書いてあった。

ある年は5冊ずつの絵本だった。娘たちは絵本が好きでパパからもよく買い与えて読み聞かせをしていた。さすがサンタさん、いつもとはちょっと違う遊べる絵本をプレゼントしてくれた。でも、朝にプレゼントを開いた姉妹の表情は浮かなかった。クリスマスなのに絵本、たしかにスペシャル感は足りなかったかもしれない。

毎年、娘たちはサンタとトナカイにお礼を準備してから寝る。サンタにくれるチョコパイは美味しく食べてくださっているようだ。トナカイ用の人参にはなぜか人の歯型で一口だけ齧られている。トナカイは実は人参がこのみじゃないのかもしれない。でもせっかくお礼、がんばって齧ってくれたんだろう! 歯型のついた人参は妻がキッチンの生ゴミ入れに直行させる。

これが和田家毎年の恒例行事だった。15歳と11歳になった姉妹とサンタクロースの思い出。今年はもう姉妹はサンタにお礼は準備しないそうだ。


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和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]