「しょっぴきますか?」

「いや、泳がせておけ」

 

一昔前の刑事ドラマにやたらとあったやりとりです。

前者は若手刑事、後者はベテラン刑事のセリフ。

 

捜査中に決定的な証拠を見つけたり、張り込み中の容疑者が軽犯罪を犯したりしたときに、若手刑事はすぐに逮捕したがります。

しかし、ベテラン刑事は逸る若手をなだめます。すぐに逮捕せずに容疑者を「泳がせて」様子を見る。

それによって共犯者が見つかったり、もっと大きな犯罪の予兆をつかんだりします。

 

逆に若手刑事がはやまったことをすると、大概ロクなことにならない。

昔話や童話と同じく、人に教訓をあたえてくれます。

黒澤明『野良犬』(東宝)より

 

 

親に返事をしない長女。

「説教しますか」

「いや、泳がせておけ」

先月まではパパと全く話をせず、半径5メートル以内に近づきもしなかった中二長女。

それが土曜日急に、宿題のスピーチ原稿のアドバイスを求めてきました。

 

夏休みの宿題が進まない次女。

「やらせますか」

「いや、泳がせておけ」

夏休みの宿題の工作が全然すすんでいなかった小四次女。

最後の土日にベソをかきながらも自力で仕上げた貯金箱。

 

子育てをしているといろんな課題にでくわして、そのたびにそれを解決しなければ、なんてがんばってしまいます。

必要なのベテラン刑事のような「泳がせておけ」という余裕なんじゃないか。

 

子どもの成長って個性や周りの環境で様々ですし、停滞したり後退しているように見えても、それが次の成長への準備期間だったりする。

実は親が思うほど、「すぐに対処しなければならない問題」は少ないのかもしれません。

 

僕の中の若手刑事も、常にベテラン刑事になだめられています。

 

 

 


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和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]