最近、これといった趣味がなくなって困っている。仕事休みの日曜日も、掃除と洗濯で一日が終わってしまった。これまで趣味は読書と映画鑑賞と模型と言ってきた。独身時代はほんまにそうやったから。
しかし今の自分の自己紹介として、読書では面白くないし読むジャンルの説明も面倒だ。映画鑑賞もありきたり。しかも映画館は月に一度程度。家でもほとんど観ていない。2時間の映画を家で見るまとまった時間や場所もとりにくく、胸を張って趣味ですといえるレベルではない。模型も好きだけど、正直この5年ほど趣味といえるほどまともに精魂込めて作った物はない。
読書や映画鑑賞や模型が本当に趣味ならこの日曜日も家事の合間にそれらに没頭しただろう。読書も映画も模型もスキマ時間にやろうと思えばできるのだ。家族は全員出かけていたので、好きなことを好きなだけできたはず。なのに現実はどれにも食指が動かなかった。
子どもが小さい間は子どもと遊ぶという役割があった。これは半分趣味といえる。我が子とその友達と遊ぶ。子どもを数人連れてどこかへ出かけることも多かった。僕はそれが好きだった。独身時代の読書や模型と同じくらい没頭できた。しかし、下の子が高学年になった今では、子どもたちは子どもたち同士で遊ぶ方が多い。遊び相手としての父親の役割の頻度は激減した。
そして今日の日曜日である。ひたすら洗濯と掃除をしていた。洗濯物を干し終わったとき爽快感があった。寝具を全部冬物に入れ替えたので、洗濯機を5回回した。洗濯物をどこに干すか。それが問題だ。晴天だったので4回目が回りきる頃には1回目の洗濯物が乾いている。それを計算に入れて限られた物干しスペースに干しきった。シーツなどは竿が足りないのでロープや子どもの鉄棒などあらゆる物を利用する。5回分の洗濯物を一日で干しきって片付けきるのは気持ちがよかった。
洗濯は毎日やらざるを得ないからやるけれど、掃除には平日なかなか手が回らない。その掃除も今日はすべての場所を綺麗にした。リビングのほこり取りと掃除機かけを皮切りに、キッチン、トイレ、風呂を含めてすべての場所を掃除した。寝室は寝具の入れ替えもしたし、キッチンはガスコンロの五徳まで。トイレは上の手洗い部分も。風呂はカビ取りとカビ防止ミストの散布まで、すべて普段手が届かないところまでのフルコース。ほぼ一日仕事である。
まてよ、と思った。洗濯と掃除を趣味としてしまえばいいじゃないか。別に嫌いじゃないしやったあとに爽快感もある。洗濯と掃除を趣味としてしまえば、どこにも行かず何も買わず何も楽しまなかった味気ない休日が、一日中趣味に没頭した幸せな日曜日になる。
読書は継続的にしているし、趣味かと言われればそんなもんでもないような気がする。模型は子育てが一段落したらまた始めようと思っていたけど、作業スペースと完成品の展示スペースがどうもなさそうだ。子どもがいないときに使えていたスペースは大きくなった子どもに使われてしまっている。それがいやかと言われればそうでもないし、本当に模型が自分にとって欠かせない物なら、無理矢理にでもさいかいしていただろう。
でも現実はたまった模型の箱を眺めて自分に「いつつくるんやろ?」と質問する程度だ。子どもたちが家から出て行ったら4万円で購入した『ミレニアム・ファルコン』を開けようかとのどかに思っている。
それに比べて掃除は毎日やっている。皿洗いとテーブル拭きはもちろん毎食ごとだし、シンク掃除も毎日欠かさずだ。そして磨いたシンクがぴかぴかになっているのを見ることに快感を感じている。トイレと風呂と掃除機は週一程度だけど、どちらもやった後は爽快だ。
洗濯も毎日欠かさずだ。家族の誰よりも上手に短時間に干せる。たたみ方も家族の誰よりも四角く綺麗に畳める。畳み終わった後は気持ちがいい。
これらが趣味じゃなくって何だと言うんだろう。家事という言葉に惑わされてこれまで本質を見誤っていた。無意識のうちに義務と感じてしまっていたのだ。これからは趣味として楽しむとしよう。
私の趣味は洗濯と掃除です。

和田 憲明

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