スーパーヒーローのパパ友の話をする。

悪の勢力「ザ・ダスト」と日々戦うスーパーヒーローの仕事の話だ。

この仕事を始めたのは16年前に結婚してから。夫婦2人だけの頃、悪の攻撃は弱かった。しかし、子どもが産まれてから悪の勢力の攻撃は激しくなり、この15年は一日も休まずに戦っているそうだ。

 

スーパーヒーローの仕事をおさらいしておこう。

スーパーヒーローの仕事は平和を守ること。

平和を守ること=悪を倒すこと。悪がもたらした混乱から平和を取り戻すことだ。

家庭における混乱、日々訪れる悪の筆頭は「部屋の汚れ」。

気をぬくと一気に押し寄せて、家庭を混乱に陥れる「部屋の汚れ」をここでは「ザ・ダスト」と呼称する。

 

中には靴下を脱ぎっぱなしにしたり、飲みかけのコップを置きっ放しにしたり、自身の尿はねでトイレをさらに汚したりしているパパもいる。私も油断をしたらそうなってしまう。

それではダース・ベイダーだ。ダークサイドに落ちてはいけない。

 

中には家庭のためを考えてがんばってるパパも多くいる。家族レジャー、日曜大工、たまに作る特別な料理……。

生活の質を上げる、それはそれでいい。しかしそれらは家庭の平和が保たれた上でのこと。

思い出してください。スーパーヒーローが何をしていたか。彼らは悪を倒して平和を取り戻す。

 

アンパンマンはバイキンマンのいたずらを止める。

バットマンは犯罪者を捕まえる。

ウルトラマンは怪獣を倒す。

仮面ライダーもスーパー戦隊も、マジンガーZもガンダムも、ルーク・スカイウォーカーも最近のアベンジャーズも全部一緒だ。

 

つまりスーパーヒーローの仕事は、悪がもたらした混乱をおさめて平和を保つこと。これだけである。悪を倒した上によりよい社会を作ることまではしない。でもこれこそが重要な仕事なのだ。

 

結論を言おう。

ザ・ダストから家庭の平和を守るスーパーヒーローの仕事、それは……掃除だ!

掃除をする。それだけで明日からスーパーヒーローになれるのである。

 

なぜ男は家族レジャーや日曜大工、そば打ちをして家族に貢献したがるのか。

それは家族に新しい価値を生み出す、ゼロをプラスにするはっきりと上向き矢印とわかる仕事だから。

一般に男は上向きの矢印になる運動が好きだ。男はこれにロマンを感じる。

 

ここで発想を転換しよう。

汚れた部屋を元に戻す掃除も、実は上向き矢印の仕事なのだ。マイナスをゼロに戻すから。

部屋をさらに汚して下向き矢印、家庭の混乱を増やす運動をするダース・ベイダーは問題外であるということは言うまでもない。

 

スーパーヒーローがやっているのと同じ仕事を生活の中でする。毎日それに専念しているパパ友は偉大だ。

そんな彼のスーパーヒーロー名は「専業主夫」。つまり、家庭専属のスーパーヒーローだ。

彼の仕事は掃除だけではない。炊事、洗濯も加えた家族の平和を保つ「家事」という仕事全てを一手に担っている。

ロマンやなぁ。

 

彼の格好よさに憧れた私は、掃除の力で3人の敵と戦うことから始めた。

一人目の敵は「ザ・カオス」。

玄関の靴を脱ぎ散らかし、混乱に陥れるにくいヤツ。日々、仕事帰りに脱ぎ散らかされた靴をそろえて「ザ・カオス」をやっつける。

二人目の敵は「ザ・スメル」。

トイレを匂わす悪いヤツ。自分がトイレを使うたびにさっと拭いて駆逐する。トイレを使う前よりも綺麗にして出れば、「ザ・スメル」は調子に乗らないのだ。

最後の敵は「ザ・ヘアー」。

うちの家族は妻と姉妹。リビングのあちこちにロングヘアーが落ちている。気づいたらヘアーを捕獲しゴミ箱に収監する。

「ヘアーをまたぐな(すぐ拾え)」が僭越ながら初心者ヒーローとしての私の座右の銘である。

 

え、掃除なんかしても家族は感謝してくれないって?おめでとう!

スーパーヒーローは正体を明かさずに、人知れず悪を倒す。誰からも感謝されなくっても気にしないのがスーパーヒーローの伝統だ。

子どもの頃に憧れた本物のスーパーヒーローになれたことを喜ぼう。

 

家族に感謝されなくても、掃除はパパ自身の心にいい効果をもたらす。

スーパーヒーローは人知れず人々の役に立つことで自己肯定感を高めている。

日々積もったホコリを取ることは人格を磨き成長することにもつながる。お寺での修行の第一は日々の掃除であることからもわかるように。

 

15年間専属のスーパーヒーローをしているパパ友は人格者である。

私は彼には遠く及ばない。しかし掃除をしたあとのスッキリした気分は自覚している。

 

ほとんどのママは専業だろうが兼業だろうが「主婦」だ。

パパたちも働いていようが失業中だろうがニートだろうがヒモだろうが「主夫」であれ。

スーパーヒロインとスーパーヒーローが揃った家族は無敵である。

最新映画「インクレディブル・ファミリー」のように。

 

さあ、日本のパパたちよ共に立ち上がろう!

掃除の力で家庭に平和を取り戻すのだ!!

右手に超トイレクイックルを、左手にダイソン博士の武器を持って!!!


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和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
マジックパパ代表、主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]