映画館の椅子でひっくり返ったのは後にも先にもその時だけだ。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』。クエンティン・タランティーノ脚本、ロバート・ロドリゲス監督のおしゃれな(はずの)犯罪映画。タイトルの通り、日没から日の出までの短い時間の出来事を描いた映画だ。当時20代だった僕はタランティーノ映画を楽しめる自分をイケてる映画ファンだと思っていた。
僕だけじゃない。そのとき隣の席で『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を観ていた友人もそう。僕たち2人だけじゃない。当時の自意識過剰な20代の9割はタランティーノ映画がわかったり、岩井俊二映画を面白いと感じる自分をイケてると思っていた。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は当時のイケてる映画の筆頭、クエンティン・タランティーノ脚本のイケてる犯罪映画だと、全く疑いなく友人と2人で入った映画館だった。
映画が半ばを過ぎた時、僕は文字通り映画館の椅子の上でひっくり返った。当時も今も「結末を決して言わないでください」という映画はある。だけど、それらの映画でひっくり返ったことはない。同時代のそんな映画の代表『シックス・センス』でもひっくり返らなかったし、去年大ヒットした『カメラを止めるな』でもひっくり返りはしなかった。
でも『フロム・ダスク・ティル・ドーン』ではひっくり返った。映画が終わって館内の照明が上がった後、となりの友人が顔を僕に向けて口をパクパクさせていたことを覚えている。僕も同じく口をパクパクさせていた。映画の感想を言葉にできなかったからだ。
今でもネタバレせずにこの映画の感想を言葉にはできない。はい、今すぐなんの予備知識も入れずに映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を観てください。なぜ今『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の思い出を書いたかというと、来週同じロバート・ロドリゲス監督が日本のマンガ『銃夢』を原作に作った映画『アリータ』が公開されるから。久々に公開初日に観たい映画。
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和田 憲明
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