オールドファンの間に衝撃のニュースが走った。『機動戦士ガンダム・閃光のハサウェイ』が3部作で映画化される!

この小説は30年前に最初のガンダムの総監督、富野由悠季によって書かれた。あまりにも悲劇的な結末に、オールドファンの間で語りぐさになっている小説だ。ガンダムは最初のテレビアニメが制作されてから10年の間に3本の映画と2本のテレビシリーズがあり、その次の映画で最初の主人公たちの物語は完結した……はずだった。しかし、そのすぐ翌年にこの小説が発表された。この小説内の登場人物だけの悲劇ならばそんなに衝撃にはならない。その悲劇は最初のガンダムから重要な役割で活躍していたある人物までを巻き込んだ悲劇だから衝撃なのだ。

SNSで友人が「この結末を知っている人が3部作の映画を見に行こうと思うか?」と疑問を呈した。僕は似た3部作の映画を思い出した。それはスター・ウォーズの1・2・3。

4・5・6を先に作ってその前の1・2・3を後から作った変な映画。当然ながら4・5・6を先に見ているオールドファンは3のラストで何が起こるかを知っている。それも衝撃の悲劇が起こることを。それでもファンは劇場に向かった。そして3のラストで悲劇が起こり、それが4につながったとき、パズルの最後の1ピースがパチッとハマった快感に酔いしれ、喝采を送った。

今度のガンダムの悲劇が、果たして快感につながるかどうかはわからない。原作者の富野由悠季は、戦争が人を幸せにする描写はしないと決めているようだ。だから最初のガンダムは名作になったし、その後の富野監督の続編群も大人が見るに値するのだ。主人公が操縦するガンダムは主人公に力を与えるとともに、その行動を縛る棺桶でもある。主人公は最後にそこから解放されて仲間の元に帰る。だから感動する。観客はガンダムの格好良さにしびれながらも、心のどこかで居心地の悪さがある。言語化されない居心地の悪さが冨野ガンダムの魅力。それは富野の手を離れた続編の中ではだんだんと薄れてきて、モビルスーツやキャラクターの格好良さにより脚光があたるようになった。だから今回、富野ガンダムが復活することは嬉しい。

ガンダムシリーズの中で唯一主人公の名前がタイトルについている『閃光のハサウェイ』。ハサウェイが最期にかじったリンゴは、彼が期待していたよりもシャリッとしていなかった。30年前に一度読んだだけの小説のその一行は今でも記憶にとどまっている。監督の情念がつまった小説がどんな出来のアニメになるとしても、その結末を見届けたい。


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和田 憲明

和田 憲明

副理事長 / マジックパパファザーリング・ジャパン関西
保育園園長、元主夫。娘の誕生を機に主夫となり保育士資格を取得。FJKでは初代理事長、現副理事長を務める。特技は手品、趣味はSF・特撮・アニメのオタク系パパ。 [⇒詳細プロフィール]