君が0歳の頃、何が一番思い出に残っているか。
君がいる生活はとても楽しかったというのが思い出ですが、とくに印象に残っていることが1つあります。
それは・・・
君が9ヶ月になったころ、お母さんがそろそろ育児休業というお休みが終わるので、家族3人で初めて旅行をしました。
行き先は北海道です。
北海道に行こうと決めたのは、初めてのものがたくさんあったからです。
旭山動物園。
富良野のラベンダー。
札幌のグルメツアー。
サイレンススズカのお墓参り。
そして、初めての子連れ飛行機。
あれは本当に楽しかった。
君は何も覚えてないだろうけど、お父さんとお母さんは君を連れていながら北海道を満喫しました。
また、機会があれば写真などで振り返ってみることもあるかもしれませんね。
でも、印象に残っているのは旅行のことではありません。
その2週間後に起こった事でした。
余韻を打ち破る恐怖
楽しかった思い出の余韻が残るころ。
もともと夜泣きの激しい子だったんですが、その日の夜泣きはなんだかおかしかったことを覚えています。
部屋の端から端までのたうち回るかのように寝返りを打って、突然火がついたように泣き始める。
心配でしばらく付き添っていると、突然吐き気をもよおすようになって、便にもわずかながら血のようなものがついていました。
「腸重績の疑い」
君は一人目だったので、発達のことから病気のことまで、いろんなことを勉強したんですが、その中で「腸重績」という病気がなんとなく心に残っていました。
腸閉塞のひとつで、腸が重なってしまい、放っておくと壊死して死に至る病気で、火のついたような泣き方と吐き気、嘔吐と血便が特徴です。
(見事に合致です)
すぐに血便を持ち、近くの夜間救急に駆け込みました。
幸いすぐに診てもらうことが出来て、当直医に血便を見せ、症状と「腸重績ではないか。」ということを伝えると、すぐに診断がおりました。
「腸重績です。すぐに総合病院で手術を受けましょう。」
君はその後、地元の総合病院で、無事に手術を受けました。
全身麻酔をして、手術室に入って行く君を、手術室の外で待っている間はとても生きた心地がしませんでした。
とくに恐かったのは、腸重績のことではありません。
腸重績は早期で発見されてしまえばほぼ大丈夫です。
僕が恐かったのは実は全身麻酔でした。
この手術の少し前、全身麻酔を受けた小さな男の子が、麻酔が強過ぎてそのまま息を引き取ったというニュースが流れていました。
本当に恐くて、君の100倍痛かったとしても身代わりになりたいと、心の底から思いながら待ち続けました。
永遠とも感じられるくらい長く感じましたが、手術自体は15分ほどで終わりました。
とてもスムーズで、何事もなく終わり、入院も1日だけですみました。
ただ、退院時にクセになる場合があるので再発の可能性もあることを告げられたので、1週間後の術後検診までは夜も寝られませんでしたけどね。
大人はすぐに原因を求めたがるもの
手術が終わって気持ちに少し余裕が出てきたころ、旅行と病気の因果関係を考えるようになりました。
旅行から帰ってきて日が短かったからです。
飛行機に乗せたことがいけなかった?
慣れないホテル生活だったのがいけなかった?
運動せずにずっと車やベビーカーだったのがいけなかった?
今考えるとバカらしいことですが、そのときはまぁ必死だったんですね。
いろいろ調べてみると、腸重績は0~5歳の間になりやすく、圧倒的に男の子がなるんだそうです。
でも、旅行のせいなどはどこにも書いていません。
長女は半年で旅行に連れて行きましたが何もおこりませんでした。
調べに調べてわかったこと、それは、考えても仕方ないなってことでした。
要は、今、元気であることを満喫しようということです!
君はきっと何も覚えていない。
でも、君が結婚して、子どもが生まれたとき、自分にこんなことがあったことを覚えておいてほしい。
きっと子どもに何かあったとき、君の苦しみはずいぶん軽くなるはずです。
なぜって?
それは君が生きているからです。
「俺は無事だった」
その事実は、君を必ず励ましてくれるだろうと信じています。
10年前の君のことが、10年後の君を励ましてくれますように。
篠田 厚志
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