君は0歳の頃から何かと親に心配かけてくれました。
9ヶ月の頃にあった腸重績は、本当にどうなることかと肝をつぶす思いでしたが、実はもう1つ、とても印象に残っていることがあります。
それは、君が生まれて1ヶ月後のこと。
生後1ヶ月の検診で、君は医者からあることを告げられました。
「もしかすると、先天性股関節脱臼かもしれません」
先天性股関節脱臼
先天性股関節脱臼というのは、その名のとおり、生まれたときから股関節がうまくハマっておらず脱臼している状態のこと。
痛みなどはないものの、放っておくと歩行障害が残ってしまう可能性があるので、わかり次第できるだけ早く脱臼を治す処置が必要になるそうです。
子どもは筋力がないので、本来なら寝かしたときにぺたんと地べたにつくはずの膝が、浮いたままになっているので、その可能性があるということでした。
初めての子どもである君が生まれて一ヶ月。
幸せいっぱいのはずなのに、脱臼してるとか、歩行障害が残るとか、不安なことをたくさん言われて、僕たち両親はただただ戸惑うばかりでした。
生後1ヶ月のレントゲンは意味がなかった
ただ、早期発見で問題なく治るということだったので、総合病院の整形外科で検査をすることになりました。
総合病院は子連れで受診するのは本当に大変です。
長い時間待たされてなんとかレントゲンを撮り終えたら、今度は診断結果が出るまでまた長い時間待たされる。
結果さえわかれば、気持ちも多少楽になるかなと思って待ち続け、やっとの思いで再び診察に入ったら、開口一番、先生がとんでもないことを口にしました。
「生まれて1ヶ月じゃ股関節の骨とか見えないので、生後3ヶ月のときにもう一度来てください」
生まれて間もない中、裸になって、冷たいレントゲン台に寝かされて、文句もいわずに頑張って撮影に協力してくれた君には、とっても申し訳なかったなぁと思いました。
正直、それならそうと最初に言ってくれれば対応も考えたのに・・・。
とはいえ、わからないものは仕方がないので、3ヶ月後にもう一度診察を受けました。
結果は・・・ただ体が固かっただけでした。
きちんと間接ははまっていたそうです。
正直、なんだったんだろうと思わないではなかったですが、君に何事もなかったことが何よりでした。
君は生まれて一ヶ月やのに、お父さんそっくりやねんな
ホッとして、この話を実家で話をすると、驚きのひと言が返ってきました。
「足がぺたんとならへんかったのは、あんたも同じやったで。」
君が特別に固かったのかと思ったら、僕も固かったそうです。
これを聞いたときは驚きましたが、同時に安心もしました。
それは、君の間接の固さは遺伝だと感じられたからです。
僕は今になるまで何事もなく過ごすことが出来ています。
だから、固いといわれた君もきっと同じように成長することが出来るでしょう。
そう思うと、君の未来が無事に開けていくのを感じられてホッとしました。
「自分にもあった」と思うことが子育てを楽にする
こんな話、あらかじめ聞いていたら、きっとこんなに悩むこともなかったかもしれません。
自分にも同じことがあった。
でも、こうして無事に大人になっている。
そう思えることが、きっと子育てを楽にしてくれるような気がします。
自分の血筋でおこったことは、すごく身近に感じられるものです。
だから僕は手紙を書きたい。
「君を育てて感じたこと」
「君を育てて悩んだこと」
「君を育てて苦労したこと」
「君を育てて大変だったこと」
「君を育てて楽しかったこと」
手紙にして、君におきたあらゆることを伝えたい。
そう、「君のトリセツ」です。
それをつくることが出来たら、それは、いつか子育てを始める君にとっての最高の子育てメソッドになるに違いありません。
「10年前の君が、10年後の君を励ましてくれる」
僕はそう信じています。
篠田 厚志
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